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# いつものブレンドの豆が変わる時に
- URL: https://youngjuncho.ghost.io/everyday-coffee-blend-ja/
- Published: 2026-10-11T07:38:11.000Z
- Updated: 2026-10-21T14:02:25.000Z
- Description: いつものラテも、原料は変わっていく。ブレンドで保ちたいものを、味わい、提供する場面、供給の継続から考える。
- Author: Youngjun Cho
- Tags: blend, sourcing, jp

毎朝、同じカフェでラテを注文する人を思い浮かべてみたい。一日の予定は、まだ頭の中でまとまっていないかもしれない。メニューをじっくり読むより、いつもの名前を口にして、温かいカップを受け取る。その人が求めているのは、昨日と寸分違わない香りだろうか。ミルクの中にもコーヒーの味わいがほどよく残り、ひと口目から心地よく飲める。それで十分なのかもしれない。同じ注文を繰り返すという事実だけでは、その理由までは分からない。ただ、その繰り返しの中には、もう一度選びたくなった何かがある。

一方、作る側では別のことが進んでいる。使っていた生豆、つまり焙煎前のコーヒーの在庫が少なくなる。新しい収穫分を確かめ、来月も同じ名前で提供する準備をする。複数のコーヒーを組み合わせたブレンドなら、どの豆をどれだけ使うかも考え直すことになる。原料を変えることと、なじみのある一杯を届けることが、同時に進んでいる。

ここで私が先に考えたいのは、配合比率より手前にある問いだ。**豆が変わっても、このコーヒーの何を保ちたいのだろう。** この問いからブレンド設計を考えると、豆を組み合わせる技術に加えて、飲む人にどのような期待を育ててきたのかにも目が向く。

## 同じ名前で届けたいもの

配合表には、使うコーヒーとその比率が記される。同じ作業を繰り返し、変更をたどるために必要な記録だ。ただ、比率だけでは、どのような味わいを目指したのかを十分に伝えられない。二つのコーヒーを半分ずつ混ぜるという指示には、その二つを選んだ理由や、完成した飲み物の目標が含まれていない。配合を正確に守っても、結果をどう判断するかという問いは残る。

Counter Cultureは、通年商品の味わいの方向性を保ちながら、季節に応じて構成を変えると説明している。単一産地のコーヒーを使う場合も、複数を組み合わせる場合もある。Square Mileも、Red Brickの構成が季節とともに変わっても、甘いチョコレートやキャラメルを思わせる特徴は続くと紹介している。

ここで目を向けたいのは、原料の変更と商品の継続を一緒に考えている点だ。保ちたい目標があり、そのために材料を調整する。ただし、これらは企業が公表する方針であって、すべての人が毎回まったく同じ味を感じることの証明ではない。実際の結果は、どのような飲み物として作り、飲むかに即して確かめる必要がある。

だからこそ、「なじみのある味」も、もう少し具体的に言葉にしておきたい。冒頭のラテなら、ミルクを加えてもコーヒーの存在感が残るか、甘さの印象が続くか、飲んだ後に苦味が重く残らないか、といった問いが考えられる。どこを重視するかは商品ごとに異なる。「おいしい」という目標を、判断できるところまで掘り下げる。その作業があって初めて、原料の変化を検討しやすくなる。

## どの一杯で確かめるか

ブレンドを評価するときも、そのラテに戻る必要がある。コーヒーだけを味わって比較することは、それぞれの材料を理解する助けになる。しかし、ラテに使う商品なら、ミルクを入れた状態を確認する機会も必要だ。材料についての記録だけで、完成した飲み物への問いにすべて答えたとはいえない。

例えば、候補を二つ比べるとき、一方は小さなカップに、もう一方はずっと多い量のミルクとともに入れたら、何が印象の違いを生んだのか分かりにくくなる。まずは実際に提供するサイズやミルクの量、抽出条件をそろえてみる。目的は、今回の比較で何を変え、何を保ったかを分かるようにすることだ。その条件は、作ろうとする飲み物に合わせて考える。

そのうえで、どちらが好ましいかとともに、どちらが目指すラテに合うかを問う。新しい原料の香りが魅力的でも、従来の商品で好まれていた性格を大きく変えるかもしれない。その香りの価値を低く見る必要はない。別の商品として紹介するのか、今の商品を意図して変えるのか、配合の中で担う役割を調整するのか。同じコーヒーでも、任せる役割によって選ぶ理由は変わる。

なじみ深さを、単純さや関心の薄さと同じ意味で扱いたくはない。毎日の選択にも好みがあり、それを大切にするには細かな判断が要る。一度の試飲で目を引くコーヒーと、毎朝また注文したいコーヒーには、異なる問いが向けられる。どちらを作ろうとしているのかが見えれば、評価の話も具体的になる。

## 来月も作れる一杯

味わいの目標が明確でも、原料を十分に確保できなければ、商品を継続して届けるのは難しい。残りわずかなコーヒーで満足できる配合ができたなら、次に考えることがある。その配合でいつまで販売できるか。その後は何を使うか。代わりの候補を確かめる時間はあるか。発売時の完成度と、次の注文に応えられることを、同じ場で考える必要がある。

費用もここに関わってくる。顧客が受け入れられる販売価格の中で、生豆に加え、焙煎や包装、飲み物を作る仕事を支えなければならない。高価な豆を加えたことだけでは、商品が良くなったとはいえない。費用を下げたことだけでも設計の成功は分からない。変わった費用と変わった一杯を並べて、何を得て何を手放したかを見る必要がある。

Coffee Libreの2024年報告書は、長期的な生産者との関係と安定した価格を調達方針として説明する。Counter Cultureの2025年報告書も、費用の圧力の中で、顧客の買いやすさと生産者との関係を扱っている。これらは個別ブレンドの成果を証明するものではないが、購入判断を目先の原料費より広く考える手がかりになる。

長く取引してきた生産者の豆を使い続けるか、新しい原料を取り入れるか。その判断には味や量に加え、関係をどう続けるかも含まれる。ただ、一つの原料を無条件に守ることが、いつも最善とは限らない。商品に必要な条件を明らかにし、供給者と話す時間を取り、変更の結果を確かめる。継続して売るコーヒーには、次の購入まで見据える設計が必要になる。

## 配合表の隣に残す言葉

こうした意図を、比率の隣に短く書いてみたらどうだろう。どの飲み物に使うのか。そこで特に保ちたい特徴は何か。原料を変えたら何と比較するのか。必要な供給期間や費用の範囲も加えられる。試作を始める前に、すべての答えが決まっている必要はない。作って味わう中で答えが変わったら、分かったことに合わせて記録を直せばよい。

![](https://storage.ghost.io/c/8e/7b/8e7b9d3e-d203-4f12-8fca-fa8a30e42197/content/images/2026/10/blend-brief-ja.png)

複数の人が仕事を分担するとき、この記録は特に役立つ。買い付ける人、焙煎する人、飲み物を作る人が同じ比率を知っていても、「良くなった」の意味は違うかもしれない。ある人は香りが明瞭になったことを、別の人はミルクとのバランスが心地よくなったことを指している。目標を言葉にしておけば、意見が分かれる場所を見つけやすい。候補を好む理由を説明し、その理由がこの商品で優先するものかを一緒に考えられる。

この記録が顧客の反応に代わるわけではない。反応に出会ったとき、読み直す場所になる。作る側は十分に似ていると思っても、飲む側には変化が感じられることがある。その違いを、単に敏感すぎるからと片づけたくはない。こちらが重視した特徴と、その人が再び注文した理由が違う可能性がある。もう少し話を聞けば、設計から抜けていた条件が見えてくるかもしれない。

## なじみを保つための変化

朝のラテに戻ろう。顧客は毎回、産地と配合比率を確かめなくてもよい。それでも、作る側は変わった内容を伝えられる。味わいの方向まで変えたなら、以前のコーヒーを好きだった人に、もう一度選ぶための情報を届けたい。「良くなりました」という一言より、自分の好みと照らし合わせられる説明が役に立つ。

すべてのブレンドが、なじみ深さを約束する必要はない。季節ごとに異なる味を期待してもらう商品もある。その場合、変化そのものが選ぶ理由になる。ただ、毎日同じ名前を探す人のための商品なら、何を変えられ、何を保ちたいのかを、作る側で考えておく必要がある。

私がブレンド設計で丁寧に見ていきたいのは、その境目だ。材料を変えながらも、人が戻ってきた理由を見失わないこと。配合表の数字は、その判断を形にするためにある。その数字を決める前に、この一杯が誰かの一日の中でどんな場所を占めてほしいのか、考える時間があってよいと思う。

## Notes & Sources

- [Counter Culture Coffee, Coffee Basics: Year-Round Coffee](https://counterculturecoffee.com/blogs/counter-culture-coffee/coffee-basics-year-round-coffee?ref=youngjuncho.ghost.io)
- [Square Mile Coffee Roasters, Coffee Subscriptions](https://shop.squaremilecoffee.com/pages/coffee-subscriptions?ref=youngjuncho.ghost.io)
- [Coffee Libre, 2024 Impact Report](https://coffeelibre2024.com/?ref=youngjuncho.ghost.io)
- [Counter Culture Coffee, 2025 Transparency Report](https://counterculturecoffee.com/pages/transparency-report?ref=youngjuncho.ghost.io)